マイホームを手放さずに債務整理できるのは個人再生
借金の返済が滞ったり、返済の目途が立たない場合には、債務整理という方法があります。
債務整理を行った場合には自宅を売却しなければならないと思っている人も多く、債務整理に一歩踏み出せないという人も少なくありません。
債務整理にはさまざまな種類があり、借金額や財産、その人の置かれている状況などによって、適した方法があるのです。
例えば、念願叶って建てたマイホームなのでどうしても手放したくないけれど、現在抱えている多額の借金はどうすればいいのかと悩んでいる場合などです。
そのような場合には、マイホームを手放すことなく、借金問題を解決できる方法があります。それは、個人再生という債務整理の方法です。
個人再生は、一定の要件を満たせば自宅を手放すことなく、住宅ローン以外の借金を大幅に減らすことができます。
そして、個人再生を行った場合には、裁判所を介して借金を減らし、残額を分割で支払っていくことになります。
債務整理には借金の返済がゼロになる自己破産という方法がありますが、自己破産の場合には、借金が帳消しになる代わりに、マイホームは手放すことになります。
そのため、自己破産して、マイホームを手放すことだけは避けたいと思っているような場合は、十分に検討してみる価値あります。
また、この個人再生を利用するためには、一定の要件を満たしていなければなりません。自宅を持っていない場合であっても、一定の要件さえ満たしていれば利用することができます。
個人再生を利用するための一定の要件って何?
個人再生を利用するための一定の要件については、以下の通りです。
- 固定収入や、将来において継続的な収入を得る見込みがある
- 住宅ローンを除いた債務額が5,000万円以下である
- このまま借金返済を続けていても、破産してしまう恐れや、事業継続に多大な支障をきたす
他にもいくつかの細かな要件はありますが、これらが基本的なものとなります。
また、個人再生には、給与所得者等再生と小規模個人再生があり、どちらを選択するのかによっても要件が変わってきます。
個人再生を行う場合のメリットとは?
個人再生を行う場合のメリットについては、以下の通りです。
マイホームを手放すことなく、借金の整理を行うことができる
個人再生は、住宅ローンを減らすことはできませんが、それ以外の借金について大幅に減額することができます。
個人再生を利用することにより、借金の残額と住宅ローンを返済していくことができれば、自宅は手放さなくてもよくなります。
借金の元金が大幅にカットされる
個人再生を利用した場合、任意整理などで得られるような金利の引き直しや将来利息ゼロなどに加えて、そこからさらに借金が減額されることになります。
借金の減額がどの程度になるかについては、住宅ローン以外の借金の総額によって異なりますが、最低弁済額はその金額の10分の1になります。
例えば、住宅ローン以外の借金の総額が3,000万円の場合には、条件にもよりますが、300万円程度まで減らすことができる可能性もあります。
減額された借金については、原則3年以内に分割弁済すればよい
個人再生を利用する場合は、減額された借金に対する将来利息がありません。
また、事情にもよりますが、借金の返済期間については、5年まで延長することができます。
住宅ローンの返済計画の見直しができる
債務者の負担が軽減されるように、住宅ローンの返済期間の延長など、返済計画の見直しを行うことができます。
資格制限がない
自己破産の場合、破産宣告から免責までの期間はある一定の職業や会社の役員に就けないなどの資格制限がありますが、個人再生の場合については、このような資格制限は一切ありません。
これらのことから、借金で首が回らなくなっている人が個人再生を利用することで、利息制限法による金利の引き直し計算などをしたうえで、さらに借金の元本を最大10分の1にまで減らせる可能性があり、マイホームも手放さなくて良いというのが最大のメリットです。
個人再生を行う場合のデメリットとは?
個人再生を行う場合のデメリットについては、以下の通りです。
信用情報機関に事故情報として登録される
世間一般的にいえば、いわゆるブラックリストに載ることになります。
そのため、5から7年間程度はローンを組んだり、新規にクレジットカードを作ったりするのが難しくなります。
官報に住所や氏名などの個人情報が載る
官報は国が発行している新聞のようなものです。
しかし、通常、一般の人は目にする可能性は低いでしょう。
個人再生で借金問題を解決するまでの流れについて
個人再生を利用できる人とは?
個人再生は原則3年間で借金を返済するという債務整理の方法なので、継続して一定の収入が見込める人でなければなりません。
これはサラリーマンに限らず、自営業者や年金受給者でも可能です。
また、小規模民事再生の場合は、住宅ローンを除いた借金総額が5,000万円以下であることが前提となります。
そして、個人再生は自己破産とは異なり、借金の理由による制限などはありません。
そのため、借金の理由がギャンブルや浪費などであったとしても、個人再生を利用することができます。
個人再生の手続きの手順と流れについて
多額の借金を抱えていて借金問題を解決したいけれど、マイホームは絶対に手放したくないと考えていますか?
ならば、まずは、法律の専門家である弁護士か司法書士に現在の借金問題の悩みや解決策を相談することをおすすめします。
弁護士に相談に行く際には、借入先の住所や連絡先、借金額、取引開始年月などを債権者一覧表として、詳しくまとめたものを持参するようにしましょう。
また、貸金業者などのカードやクレジットカード、通帳、現在の収入の状況が分かるもの、住宅ローンの書類、最近届いた請求書なども用意していきましょう。
弁護士は、任意整理や個人再生、自己破産などの中から、相談者に最も適した債務整理について提案します。
今回の場合は、相談者がマイホームを手放したくないけれど、借金の整理をしたいという依頼であるため、個人再生を利用できる要件を満たしているかどうかについて、詳しく調べ、検討していくことになります。
また、個人再生の手続きを弁護士に依頼した時点で、借金の返済については、ストップさせることができます。しかし、住宅ローンがある場合には、弁護士の指示に従って返済を続ける必要があります。
弁護士が検討を行った結果、要件を満たしている場合には、確実に返済することのできる再生計画を立て、地方裁判所に個人再生の申立書類を提出することになります。
その後、債権の確定が終わると、債権者に対して書面による決議が行われ、問題がなければ地方裁判所の認可が下り、個人再生が成立します。
これら一連の手続きについては、弁護士によって行われるため、依頼者は特に何もする必要はありません。
個人再生の成立後は再生計画に従うこと
裁判所の許可が下り、個人再生が成立したら、再生計画に沿って決められた一定金額を3年間で支払うことになります。
また、その際の決められた借金を貸金業者に支払う場合、弁護士を通じて返済していく方法を選ぶこともできます。
そして、3年間できちんと借金の返済をすれば、マイホームを手放さなくてよくなり、借金問題から解放されることになります。
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