任意整理と個人再生はどちらも債務整理の方法です。
ですがこの2つは支払方法や手続き、借金の圧縮率などにおいて様々な違いがあります。
そのため、どちらが優れているという物ではなく、その人の借金額や生活環境、収入などによって、どちらが向いているのかが変わってきます。
そのため、自分に合っていないものを選ぶと、損をしてしまう可能性もあります。
自分でも知識を持っておき、少しでも疑問点があるなら専門家に相談するといいでしょう。
任意整理とは
任意整理とは、債務が返済できなくなってしまった場合に、貸金側と交渉して月々の返済額を減らし、支払いの負担を軽くするための手続きになります。
任意整理では裁判所を通さずに、貸金側と直接交渉を行い、利息のカットであったり、月々の支払金額や分割回数について話し合いの中で決定していきます。
また、この際に減額できる場合があります。
それは、利息制限法で定められた利率よりも高かった場合の借金のみです。
そのため、それ以下の利率の借金の場合には、減額することはできません。
高利率であった場合には、この減額により借金がゼロになったり、過払い金が発生することがあります。
参考サイト:法律事務所ホームワンHP 任意整理
https://www.saimu110.info/niniseiri/
(参照日:2019年4月9日)
任意整理の条件
任意整理を行いたい場合には、条件を満たしていなければいけません。
それは、安定した収入があること、3~5年で返済できる見込みがあること、今後も返済するという意思が認められることです。
収入から、生活費などを引いたものから返済を行うことになります。
そのため、収入が多かったり、必要な生活費が少なかったりして返済に回せる金額が多いとより任意整理が認められやすくなります。
また、長々と支払うのでは相手側に認めてもらえないこともあるので、原則3~5年で返済できるような額を月々支払う必要があります。
そのため、その期間では支払えないほどの借金の場合には、任意整理を行えない場合がります。
最後に、任意整理は本来支払うべきものを相手側に待ってもらっている状況になります。
そのため、毎回きちんと支払いを行うという意思が見られない場合には行えない場合があります。
特に、一度も返済を行っていないような借金は任意整理を受けてもらいにくいです。
参考サイト:法律事務所ホームワンHP 任意整理ができる条件
https://www.saimu110.info/niniseiri/condition.html
(参照日:2019年4月9日)
個人再生とは
個人再生とは、債務が支払えない場合に裁判所を通して債務を減額してもらい、その金額を分割して支払う方法になります。
この際に、裁判を行うため手続きが必要となり、資料などが必要になってきます。
この際の減額は基準が決まっていて、負債額や所有している財産、収入からどこまで圧縮されるかが決定されます。
アルバイトや自営業の場合には負債額と財産から決めた金額の内高い金額を原則3年間で分割して支払うことになります。
給与所得者の場合には、3つの基準のうち一番高い金額を3年間で分割して支払うことになります。
そのため、給与所得者の場合には、給与が高い方が支払う額も高くなる可能性があります。
参考のために、負債額で判断した場合、負債額が100万円未満の場合には満額支払うことになります。
100万円以上500万円未満の場合は一律100万円、500万円以上1500万円未満の場合には負債額の5分の1になります。
1500万円以上3000万円未満の場合は一律300万円、3000万円以上5000万円未満の場合は負債額の10分の1になります。
そのため、負債額が800万円の場合は返済額は160万円、1800万円の場合は300万円、4000万円の場合には400万円となります。
個人再生はさらに2種類に分けることができます。
アルバイトや自営業向けの小規模個人再生と、給与所得者向けの給与所得者等再生があります。
これらは、それぞれ行うための条件が変わってきます。
参考サイト:法律事務所ホームワンHP 個人再生
https://www.saimu110.info/saisei/
(参照日:2019年4月9日)
個人再生の条件
個人再生を行う場合には条件を満たしている必要があります。
将来的に安定した収入があり計画に沿って弁済ができること、債務総額が5000万円未満であることはどんな場合でも満たしている必要があります。
小規模個人再生手続きの場合には、債権者から2分の1以上の不同意がないことが必要になります。
また、給与所得等再生手続きの場合には、過去7年以内に、個人再生手続のハードシップ免責許可決定、給与所得再生の再生計画認可決定、破産手続き免責決定を受けていないことが必要です。
アルバイトの場合には継続して勤務している実績があれば条件を満たすことができます。
ですが短期間のアルバイトを転々としていたりする場合には条件を満たしていないとされます。
債務総額については、住宅ローンがある場合には住宅を守る手続きをする場合においては、住宅ローンなどは債務総額に含まれなくすることができます。
参考サイト:法律事務所ホームワンHP 個人再生
https://www.saimu110.info/saisei/
(参照日:2019年4月9日)
任意整理と個人再生の違い
任意整理と個人再生では、返済額以外にも異なる点があります。
個人再生は裁判所を通して手続きを行いますが、任意整理では貸金側との任意のもとでの話し合いになります。
そのため、その手続き上個人再生においては、裁判所へ出頭しなければならなかったり、家に裁判所からの書類が届くことになります。
そのため、個人再生は家族などにばれてしまう恐れもあります。
任意整理では、裁判所からの書類などもないので、家族に知られることなく手続きを行うことも可能です。
また、複数の借金がある場合、個人再生では債権者平等の原則が適用されるため、すべての借金が対象となります。
ですが任意整理では対象を自由に選ぶことができます。
注意しなければいけないのが、任意整理でも債権者平等の原則は守るべきものとされているので、債権者側にも配慮が必要となります。
参考サイト:債務整理相談広場
https://www.saimubengo.com/individual_rehabilitation/difference.html
(参照日:2019年4月9日)
債務額の比較
実際に任意整理と個人再生の場合にいくら支払うことになるのか比較してみましょう。
800万円の負債があると仮定します。
この際に、任意整理を行い、減額がなかった場合、支払金額は800万円のままになります。
この場合、3年で支払いを行う場合は月々約22万円、5年で支払う場合には約13万円になります。
個人再生の場合には、800万円の債務が圧縮され、160万円になります。
そのため、3年間で支払うためには月々約4万円になります。
このように見ると個人再生の方が得になります。
ですが、借金の額や返済能力によっては債務処理の選択をできない可能性もあります。
比較したように、任意整理の方が支払金額が高くなるため、収入が大きい場合や債務自体が少額のときは任意整理になりやすいです。
参考サイト:債務整理相談広場
https://www.saimubengo.com/individual_rehabilitation/difference.html
(参照日:2019年4月9日)
自分に合った債務処理を選ぶには
ここまで比較したものでは、支払金額は個人再生の場合の方が少なくなるため、借金がある人にとっては個人再生の方がいい、と思ってしまうかもしれません。
ですが、すべての人に個人再生が向いている、というわけではありません。
確実に自分に合った債務処理の方法を見つけるには、専門家に相談するのが一番確実です。
専門家に相談した場合には、自分に合った債務処理を紹介してくれる以外にも利点があります。
任意整理の場合には、事前に専門家と自分の状態を話し合うことで、貸金側との交渉を代わりに行ってくれます。
専門家であるため、初めて交渉を行う自分とは違い、交渉のプロになります。
そのためより安心して交渉に臨むことができます。
個人再生の場合にも、裁判所への手続きや資料を集めるのが楽になります。
知識があるといっても自分一人では実際に裁判の場になると初めてのことばかりで戸惑ってしまうかもしれませんが、力強い味方になってくれもします。
相談するのが不安という方には、インターネット上で簡易的な診断も行ってくれています。
参考サイト:アディーレ法律事務所 HP
https://www.adire.jp/check/
(参照日:2019年4月9日)
また、専門家が近くにいると疑問に思ったことなども自分で調べたりするよりも確実に答えてもらえます。
まとめ
任意整理と個人再生は、支払金額だけでは比較できないようなものです。
選ぶことができる場合には、なんとなくで選ぶのではなく、知識を持って自分の今の状態では本当に選ぶべきなのはどちらなのかしっかりと考えて選びましょう。
自分一人で選んだり、債務整理を行うのが難しかったり怖かったりするなら、恥ずかしがらずに専門家に頼りましょう。
年齢:27
性別:男
プロフィール:ライター歴半年です。
テーマに関して調べてリライトをメインとしています。
大学時代に学んだ知識を踏まえながら、改めて調べなおして書かせてもらいました。