クレジットカードでの借金
クレジットカードは大変便利なサービスですが、使い方を間違えれば債務整理のお世話にならなくてはいけない事態にまで発展します。
実際に、クレジットカードでキャッシングを利用しているときには、返済プランを含めた包括的な対処が必要です。
例えば、クレジットカードは一般的にリボ払いという返済プランを提供しており、これを利用することで債務者の負担が大きくなってしまうケースも出てきています。
そのため、まずは金融機関がどのような返済プランを準備しているのかを必ず考えなくてはいけません。
- 元利
- 利息
クレジットカードを用いる場合、上記の二つの考え方が非常に重要になります。
特に、金利の負担を決めるのは元利という概念で、元利が不安定で高くなるほど返済時の負担も大きくなります。
元利の負担によって返済が困難になった場合は、債務整理を使って金利の負担を減らしてもらわなくてはいけません。
元利のトラブルは、個人再生や自己破産よりも任意整理を使った方がうまくいくことが多いのですが、単純に手続きを利用できない状況も考えられます。
具体的な債務者の状況を考慮して、どの手続きで返済方法をまとめれば良いのかを弁護士と一緒に考えることが大切です。
クレジットカードのリボ払いの考え方
元利の基本
クレジットカードなどのリボ払いでは、元利という概念を基準に返済金を考えていきます。
元利は、消費者に対して融資する元本に設定される金利のことを意味します。
元利が定率になっていると、そこから支払われる金利分も一定になっていくため、返済する方としては返済のシミュレーションを立てやすいメリットがあります。
また元利を定率に設定すると、月々に返済する利息分も一定になります。
利息は元利によって算出された年間の支払い分を、月の支払い分に換算したものです。
つまり、元利が一定ならば自然と月々の支払い分である利息も一定になるという側面があります。
リボ払いのデメリットとは?
ただ、リボ払いは債務者に対する負担が大きくなるため、任意整理などの債務整理を使う可能性が高くなる危険性も指摘されています。
これは、リボ払いが長期的に見ると債務者への大きな負担となって返ってくることがわかっているからです。
そもそも債務整理の利用者の多くは元本の返済に苦しむのではなく、それに設定されている金利や利息に悩まされていることが大半です。
短期的な元本の負担は、実は債務者にとって大きな負担にならないわけです。
これは、具体的にシミュレーションすると明らかです。以下は100万円に10%の金利が設定されたことを前提に考えます。
- 100万円で金利が10%の場合…1年間の利息は約10万円
- 100万円で金利が10%の場合…1ヶ月の利息は約8,000円
単純計算で行うと、短期の利息分は8,000円程度で済みます。一方で、1年で長期的に返済を続けることを考慮すると、元本に加えてさらに10万円の金銭を返還しなくてはいけません。
このケースでは、1年後に全てのお金を完済した場合と1ヶ月後に全てのお金を完済したケースで実に9万円以上も無駄にお金を返済していることがわかります。
これが2年3年と期間が経過していくと、さらに大きなお金を支出しなくてはならなくなります。
つまり、短期で返済する方が必ず債務者に有利に働きます。
これがリボ払いの怖い点です。長期的に支払いを継続していくと必ず月々の利息分によって負担が大きくなっていき、債務整理の利用確率が上昇します。
シミュレーションを立てやすく返済しやすい利点があるためリボ払いを選択する人はとても多いですが、実は長期的には不利になっている可能性があるということを理解しておくことです。
リボ払いは債務整理の利用にも影響がある
債務整理の利用が難しくなる?
リボ払いの難点は、債務整理の利用にも影響があるという点です。
仮にリボ払いをしている金融機関が消費者金融であった場合には、過払い金を含めた手続きを実行することが可能です。
この場合のメリットは、相手が悪質な業者であれば個人再生や自己破産を利用できる可能性が高くなることです。
そもそも、悪質な業者に対してはお金を返済する債務者側の義務がなくなる可能性があるので、強力な債務整理を利用できる可能性も高くなります。
一方で、銀行などの金融機関はリボ払いであっても法定利息の範囲内で正規に返済金を求めていますので、任意整理が利用できないという短所があります。
クレジットカードに関しては誤解をしている人も大勢いますが、そもそもクレジットカードのキャッシング枠には銀行の規定は優先されません。
それよりも、貸金に関する規定が優先されます。
クレジットカードのキャッシングは、消費者金融と同様に少額融資という消費者向けのサービスに分類されるので、たとえキャッシングで大きな返済金を抱え込んでしまったとしても、貸金の規定の範囲内で問題を解決しなくてはならないという制限が生まれます。
大きな借金を背負ってしまった場合では、個人再生や自己破産を用いた方が効率的に問題を解決できますが、クレジットカードには実はこうした問題点もあるわけです。
銀行がクレジットカードを作っているからといって銀行の規定が適用されるわけではなく、種類としては消費者金融のキャッシングと何も変わりません。
利用する手段はその時々によって必ず変えなくてはいけないという難しさが生まれます。
ショッピング枠とは別枠
キャッシング枠は、ショッピング枠とは別枠なので債務整理で処理を行う際には別の観点から実行しなくてはいけません。
- キャッシング枠…元利の問題
- ショッピング枠…元本の問題
キャッシング枠は、リボ払いを筆頭とする元利の問題として処理します。
一方で、ショッピング枠は元本の問題であるため利用する債務整理も元本の処理に長けている個人再生や自己破産を利用する方が有利に働きます。
これら二つの違いは、クレジットカードの処理では非常に重要です。
ショッピング枠は、元利を必要とせずに買い物ができるサービスであるためリボ払いによって継続的な返済を求めていません。
ショッピングで消費した分だけの金銭を返還すればそれで良いので、債務不履行に関連する処理の方法も当然異なります。
まずは相談してから判断しよう
リボ払いを利用している金融機関は銀行だけではありません。
消費者金融もそうですので、まずは債務整理の中でもどの手続きが利用できるのかを弁護士に相談することが大切です。
同じ少額融資の問題であっても、銀行と消費者金融では金利の上限や考え方が違います。特に、貸金業法が改正される以前からお金を借りている人は要注意です。
貸金業法が改正される以前にお金を借りているときは、グレーゾーン金利によって返済を行っている可能性が高く、任意整理によって金銭の返還を実現できる可能性も高くなります。
一方で、銀行の場合はたとえリボ払いであっても金利を法定範囲で設定していることが普通なので、こうした処理を期待できません。
この場合の債務整理は、元利と元本のどちらに対して行うのかを考慮する必要があります。
弁護士は、借金減額の手続きだけではなく債務の状況を具体的に把握できる手段も持っています。
銀行や消費者金融側に現在の債務状況を問い合わせて、具体的な借金の総額を再計算してくれます。
特に、元利が関連するリボ払いの計算は素人では難しいので、早期の相談を行うことで債務整理の難しい判断も容易に任せることができるでしょう。
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